静止膜電位の発生
ATPを利用して1回ごとにナトリウムイオン3個を細胞外に汲み出しカリウムイオン2個を細胞内に組み入れるナトリウムカリウムATPアーゼ=ナトリウムポンプの働きにより細胞外にナトリウムイオンの数が多くなり、細胞内にカリウムイオンの数が多くなる。
そうすると、エネルギーを必要としない常時開口しているカリウムイオン漏洩チャネルをカリウムイオンが濃度勾配に従って細胞内から細胞外に流出する。
しかし、しばらくすると細胞内が電気的に陰性となりカリウムイオンを細胞内に引き留める力が生じて釣り合うようになる。
このカリウムイオンが移動しなくなる釣り合った状態を平衡状態といい、そのときに発生している電位が平衡電位であり、これはほぼ静止膜電位に近いものである。
活動電位の発生
細胞膜に刺激(化学物質や通電など)が加わると膜電位が僅かに➕の方向に動く。
この刺激が閾値を超えた場合に電位依存性ナトリウムイオンチャネルが開きナトリウムイオンが濃度勾配に従って一気に細胞内に流れ込む。
これにより膜電位が一気に逆転して脱分極する。
膜電位が上昇した後、ナトリウムイオンチャネルは不活性化されて閉じる。そして今度は電位依存性カリウムイオンチャネルが開く。すると、カリウムイオンは濃度勾配と電位的勾配に従って細胞外に流出して再分極する。
電位依存性カリウムイオンチャネルは再分極して電位が元に戻っても、反応が遅れてすぐには閉じることなくしばらく開いている。このため、カリウムイオンの流出がしばらく続き、通常の静止膜電位よりもさらに膜電位が低くなる過分極となる。
その後しばらくすると静止膜電位に戻る。
心筋の活動電位の発生
洞結節と房室結節の活動電位の発生
刺激伝導系の流れ
刺激伝導系を構成する細胞は特殊心筋と呼ばれ、心房・心室の壁を構成する一般の心筋細胞である固有心筋とは区別される。
刺激伝導系は「洞結節(SA node)→房室結節(AV node)→His束(Bundle of His)→右脚左脚→Purkinje線維」という流れになっている。
刺激伝導系が心筋内膜面側に沿っていることから心室の脱分極は心内膜側に始まり心外膜側に向かって拡がっていき、収縮は心内膜側から始まる。
脱分極が心内膜側から心外膜側に向かうのならその後に起こる再分極も心内膜側から始まり心外膜側に終わるように思えるが、実際には再分極は心外膜側から始まり心内膜側に終わる。これは心内膜側は脱分極と再分極の間の時間が長く、心外膜側は脱分極と再分極の間の時間が短いためである。
それなので脱分極の局面でも電流は心内膜側から心外膜側に流れる。
- 洞結節は下大静脈にある.
- 房室結節は右房にある.
- His束は左房にある.
- 右脚は右房にある.
- Purkinje線維は心内膜内にある.
解答:2.房室結節は右房にある.
解説:1.←洞結節は上大静脈の前面で右心房との接合部に位置する。
3.←His束は心房と心室を結ぶ特殊な心筋細胞の束である。
4.←右脚は右室にある.
5.←心室の心内膜下にPurkinje線維は存在する.
- 心房
- His束
- Kent束
- 房室結節
- Purkinje束
解答:4.房室結節
解説:房室結節は塊状の結節であり、心房が異常に速く興奮してもそのまま心室に伝わらないように調整する機能を持ち、刺激刺激伝導系の中で刺激伝導に最も時間を要する。また、刺激伝導に時間をかけることで心房と心室の収縮タイミングをずらして、心臓のポンプ機能がうまく作用するのを補助するという役割を果たしている。
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